いつもと違う太一さんに、あたしは恥ずかしさと嬉しさで、思わずあたしも手に力が入った。


 押し付けている太一さんの胸の奥から、トクントクンと鼓動が響く。


「……未来…」


 呼ばれて見上げると、いつもより何倍も優しい笑顔。

コーヒー色の髪がぬるい風になびいてた。


「はい?」

 答えてみたものの、それから続かない。

その代わりなのか、大きな太一さんの手のひらがあたしの頬を包んだ。


 あまりないスキンシップの仕方に、思わずあたしの心臓はドキンと飛び跳ねた。


そしてそのまま溶かすような温かい視線が、まるで金縛りにあったみたいにあたしの体の動きを止めた。


 その瞳と瞳の距離が、少しずつ近くなったように感じたからだ。


「た、太一、さん…?」

 心臓がジョギングから猛ダッシュへ変更された。


 こっ……これは、もしかして…っ!?


 脳内で緊張と焦りと不安が大戦争を巻き起こす。

それでもどうすることもできなくて、ぎゅっと目をつぶってしまった。



 バクバクと鼓動が早くなり、温かい吐息が鼻先にかかる。


ヘンな緊張で手は震えるし、目も開けられなくて、声すらでない。



 ど…どうしよう~っ!!



 体中の筋肉がカチコチに、本領発揮とばかりに力が入ったそのときだった。