フォーチュンクッキー

 体育館のライトと、組まれた鉄骨が視界に飛び込んだ。


ズダンっ!


鈍い音が鳴り響くと同時に、またあの突き抜けるようなホイッスルの音。


「太一!」

「先輩!?」


 怜とふわふわ娘の声が聞こえた。

そして…、意識が途切れた。




 地球は回ってるってだれがいったんだっけ?


 暗闇の宇宙に浮いてる気分で、不安定なのは場所だけじゃなかった。




 やけに痛みを覚える後頭部。

さすろうとしても体がいうことを聞かず、よじってみてもどうにもならなかった。


 ぐらんぐらんと脳みそが揺れる気分を味わいながら、ようやく白い光に包まれた。

いや、瞼を開くことができた。




 白い天井と微かに見えるカーテンレール。

薬品臭さが意識を正常にさせていった。



「ん…」

 口も開いたから、さっきの場所じゃないってことだけはわかった。

 上半身を起き上がらせると、そこは何回かしか来たことのない保健室。



 痛む後頭部をさすってみると、少しこぶになっているようだ。

そんな時、オフホワイトのカーテンがシャッと乾いた音を立てて開かれる。