沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



それからどうなったかというと……

隣のクラスの姫野と接点がないまま、時だけが過ぎていった。



明日から夏休みかよ。


1か月以上、姫野を見ることすらできないって。

忍耐力をつける修業なわけ?


マジでメンタルが落ちる。

夏休みなんていらないよなぁ。



昼休み、俺は廊下で暴走族仲間の壮太としゃべっていた。


視線を教室の中にずらせば、俺の瞳に姫野が映る。

姫野の声が聞こえる位置を、ばっちりキープ。



『私……市の花火大会は行けなくなっちゃって……』


悲しそうな姫野の声が、俺の耳に。



『たこ焼きとグルグルウインナーとりんご飴を食べるつもりでいたんだけど……』



一晩で食べすぎじゃね?


目が真ん丸でリスっぽい姫野が、口いっぱいに食べ物を頬ばるとか……


絶対、可愛い。

可愛くないはずがない。