沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


「ヒーローになりたいなんて。そんな夢……恥ずかしくて友達に言えない……」


「言いたくないことはわざわざ言わなくていいよ。でも、これだけは覚えておいて」


「ん?」


「お姉ちゃんは尊敬してるからね。自分の中の『好き』っていう気持ちを大事にできる、頑張り屋の弟のことを」


「……お姉ちゃん」


「歩、泣かないの。ほら、このハンカチで涙ふいて」


「……僕、ヒーローを好きでいいのかな?」


「当たり前でしょ?」


「本当に?」


「お姉ちゃんは歩が大好きだよ。ブラコンって笑われても、全然気にならない」


「ブラコンは恥ずかしいでしょ?」


「なんなら今からあのステージに立って、大声で宣言しちゃおうか? 私はブラコンです。幸せですって」


「やめてよ、お姉ちゃん。遊園地の人に怒られちゃう。それに僕が恥ずかしいから」


「アハハ~ 口を尖らす歩も可愛い。ヒーローごっこで剣を振り回す歩は、もっと可愛くて、かっこよくて、最高だけど」


「お姉ちゃん、ありがとう。なんか元気出た」


「歩が笑顔になったことだし、観覧車乗りに行こう」


「どっちが観覧車まで早く行けるか、競争だからね。僕、負けないから」