沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



「好きなものをバカにされると、ものすごく辛いよね」


太一(たいち)くんにも、学校で勉強なんかしてないで幼稚園で遊べばって言われたんだ」


「そっかぁ。それは悲しかったね」


「僕はおかしいのかなって、思っちゃって……」


「だから、歩はおかしくないんだってば」


「お姉ちゃん、実はヒーローなんてそこまで好きじゃないでしょ?」


「……えっ?」


「家でヒーローの話なんて、全然しないじゃん。僕のために、今日はヒーローが大好きなお姉ちゃんを演じてくれてたんでしょ?」


「……バレてたか」


「そりゃバレるよ。一緒に住んでるんだし」


「アハハ~ そうだよね。歩はそういうとこ鋭いもんね」


「僕を騙そうとしても無駄だからね」



「でもね、お姉ちゃんは思うんだ」


「何を?」


「ヒーローみたいに人を助けられる人間になりたくて、毎日空手を頑張ってる歩は、誰よりもカッコいいなって」