沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



姫野への想いが

『気になる同級生』から

『大好きな女』に変わったのは

ヒーローショーが終わった後のこと。



客席から家族連れが撤収している中

「お兄ちゃん、帰るのちょっと待って。私まだ、レッドの絵を描いてるとこだから」

絵を描く妹を待っていた時だった。


席に座ったままの俺の瞳には

2列前に座っている姫野が映っている。



悲しげな瞳を揺らし、隣に座る弟の肩をさすっている姫野。


さっきまで、ハイテンションで笑ってたよな?

目を離した隙に、姉弟で何があった?

俺は気になってたまらない。



「ねぇお姉ちゃん。僕さ、嫌いになった方がいいのかな?」


「歩、嫌いになる必要なんかないよ」


「でも、みんなに言われちゃう。小学生になったのに、まだヒーローが好きなのか?って」