「……声を張り上げて……悪かった」 俺は姫野から離れ、観覧者の座席に座る。 泣きそうな姫野は、俺とは反対側の対角線に座った。 俺から一番遠い場所。 どれだけ俺のことが嫌いなわけ? 本命の男に申し訳ないっていう罪悪感でも抱いてんの? 俺に襲われるって怯えてるとか? 安心しろ。 もう俺は、姫野のことは諦めた。 オマエを手に入れたいなんて思っていない。 これっぽっちも…… 一ミリも……