沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



おねだりなんてできないまま、無言の時間だけが流れていく。

心臓の鼓動に平常心を乱されている間に、打ち上げ花火が終了してしまった。


これで東条くんとバイバイかぁ。

もっと一緒にいたかったなぁ。

私が素直で可愛い言葉を、スラスラ言える人間なら良かったのに。




「東条くん、帰ろう」



正反対の思いを吐きだしちゃう自分。

ほんと幻滅してしまう。



ベンチから立ち上がった私。


でも東条くんは、腰を上げようとはしない。

地面をじっと見つめたまま、ピンクのヨーヨーをポンポンと手ではじいている。



「帰らないの?」




「姫野の家まで送るから、もう少し一緒にいたい」


「えっ?」



「閉園時間まで、姫野をこの遊園地に閉じ込めてもいい?」