沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



「姫野のその優しさ、必要ないから」


「えっ?」


「俺は最初から、ピンクのヨーヨーを狙ってた」


「なんで?」


「桜色の浴衣……姫野に似合ってるから……」


「……っ」


「同じ色のものを、俺も持っていたいんだよ」




どどど……どうしよう……



嬉しすぎて、恥ずかしすぎて

バクバクが鳴りやまない。


心臓が、肌から飛び出しちゃいそう。







それから私たちは、ベンチに座って花火を見た。



お互い無言のまま、たこ焼きを食べて。

グルグルフランクを食べて。

りんご飴を食べて。


胸のキュンキュンを鎮めたくて、私は赤いヨーヨーをポンポンポン。



東条君も、花火を楽しんでいるかな?



そんな質問すらできないくらいドキドキに襲われていて、

ただただ、大輪の花が咲く夏の夜空を見上げている。



もう一度、東条くんと手をつなぎたい。


そんなワガママを言葉にしたら、東条くんに幻滅されちゃうかな?