沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



はぁぁぁぁ、良かったぁ。


お兄さんの姿が見えなくなって、私は安堵のため息が止まらない。


これで野いちご学園の生徒が、危険な目に合うことはない。

あのお兄さんから、しつこく迫られることはもうなさそうだし。

それもこれも、東条くんのおかげだね。




「あの……東条くん……」



ちゃんとお礼を伝えたい。


心の中で膨れ上がっている、東条くんへの感謝の気持ち。

全部全部、ちゃんと届けたい。


そう思ったのに……



「悪かったな。怖い思いさせて」



目の前に立つ東条くんは、なぜか照れ顔で。

私から目をそらしながら、頭の後ろを掻いていて。



「二度と怖い思いさせたくないから、手、握っててやる」



恥ずかしそうに、左手を出してきたんだもん。