沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



東条くんは険しい顔で、さっとお兄さんの背後に回った。

私に肩に絡まるお兄さんの腕を掴み、背中辺りでひねり上げている。



「痛いっ……マジで痛いって。手を放せ」


「これでギブ? お兄さん、自分は強いって言ってなかった? 俺、護身術しか使ってないんだけど」


「痛たたたた……。マジで手を離せってば」


「二度と姫野に近づかないって約束できるなら、見逃してやる」


「近づかない。約束する。野いちご学園にも、手出ししないから!」



「絶対だからな!」



東条くんはドスの利いた声を張り上げると


「俺は百目鬼(トドメキ)の総長、東条朝都だ。今度俺の大事な奴らを傷つけたら、俺は地獄の果てまでオマエを追いかけまわすからな!」


腕をぶん回しながら、お兄さんを放り投げた。