沼甘総長は、左手の薬指を独占したい



「えっと……東条く……」



トントン。



ひぃえ!



東条くんが、指で机を叩いた。

怒り顔のまま、机の上のチラシをトントンって。



想定外の出来事のせい。

謝罪セリフは、声になる前に私の肺に押し戻されちゃった。



東条くんがトントンしたこの紙。

なんのチラシだろう?


ピンクのハートが、たくさん描かれていますが……




チラシに踊る大きな文字だけ、私は心の中で読んでみる。



『一晩限定。遊園地で夏祭りを楽しもう』


『たくさんの出店が勢ぞろい。花火の打ち上げもあるよ』


『浴衣で来たカップルは、入園無料』



そう書かれているけれど……