「この一年、何度も思った。姫野のこと、諦めなきゃダメだって」


「……」


「でも学校でふと気づくと、俺の瞳にお前が映ってた。女友達に笑顔振りまくな。俺だけに微笑め。俺のとこ来い、今すぐにって。何度も何度も願ってた」



そんな風に思ってくれていたの?


東条君の想い、すっごく嬉しい。



「私だって思ってたよ。東条くんが男友達に、心を許したように笑うたびに……」


「なんて思ってた?」


「私も男だったら……男友達だったら……笑いかけてもらえてるのかなって……」



私の言葉に反応したかのように

私を抱きしめていた腕を、さらっとほどいた東条くん。


嫌われるようなことを言っちゃったかな?


彼の心が離れてしまった気がして、あせりで私の心臓がジリっと痛む。



「えっとね、今のはその……私が男だったら暴走族のチームに入らせて欲しいとか、そんなおこがましいことを思ったわけじゃなくて。私、力は弱いし。喧嘩できるかってなったら、多分ダメで。えっと……」



うわぁぁぁ。

何を言いたいのか、わからなくなってきちゃった。