「私……反対側の景色も見たいなぁ……」



キュンキュンに耐えられなくなって、逃げ出そうと試みたものの



「姫野の視界、ふさいでもいい?」



切ない声が響いた直後

隣に座る東条くんに、抱きしめられちゃった。



私の顔面は、きつく東条くんの胸に押し当てられている。



だからそういうの……

急に甘い態度は、ダメだってば……



大事そうに抱きしめられたら、心臓が震えて余計に言えなくなっちゃう。


『東条君のことが大好きだよ』って。




浴衣の袖から伸びる男らしい腕が、力強く私を締め付けてくるのに



「姫野に嫌われたって……俺は絶望してたんだからな……」



なんで弱々しい声で囁くかなぁ。


そのギャップ……反則だよ。