ふたりでキッチンに並んで、夕食のクリームシチューを作っていた時の会話だ。
 ちなみにシチューを作っていたのはオル(そう呼べ、と言うから)、私はサラダを担当した。
 10年後の私達も、こんな風におしゃべりしながら、ふたりで料理を作っていたのかな……


 私よりずいぶん背が高かった魔女シアの時よりもっと背が高い魔法士オルシアナス・ヴィオンに合うサイズの男性用の服等手元になくて、彼にはバスローブを着せていた。
 自力で体温調節が出来るから、手足の丈は短いが寒くはないらしい。

 明日の日曜日は休息日で、洋服屋は閉まっている。
 月曜日、銀行でお金を下ろした時に何か買ってくるから、それまでバスローブで我慢して、とオルに言った。



 彼の魔力が増幅して万全に戻れるようになるまで、ここに匿う代わりに、絶対に誘惑しないで、と頼んだ。
 私は怖かったのだ。

 そういうことを1度してしまえば、オルに溺れていく自覚があったからだ。
 現在の私は、10年後の私より簡単な女だ。
 自分が面食いだとは認めたくないけれど、オルに迫られたら、流されてしまう自信は大いにある。