とうとうお待ちかねのパレードが、王城を出発した、今どの辺りを通過した、等と次々に伝達の様に人々が口にしていて。
 興奮と歓声が最高潮に達した頃、パレードのやや後半にオルが姿を現した。


 隣には養母のレベッカ・ヴィオン師匠が居て。
 少し不機嫌に見えるオルに何かを言っていて。
 彼はなんとなく不貞腐れながら、面倒くさそうに観客に手を振り続けていた。


 物凄い人出で、セントラル大通りが人人人で埋め尽くされていた。
 オルが前から2列目の私に気付いたとは思えなかった。
(6時に来ても、最前列は確保出来なかったのだ)
 こっちなんか、全然見てくれてもいなかった。


 あんなに無愛想にして、嫌われてしまうぞ、と心配したのに。
 意外にも皆さんは口々に、単に歩いているだけのオルの美しさや将来性を褒めそやしていた。



 23歳の彼からは、いつか会える日のためにがんばっている、なんて聞かされたけれど。
 うーん……今回のパレードで一気にファンを増やしたのが、嬉しくもあり、腹立たしくもあり。


 恋する女はいつまで待てば良いのか、と。

 どきどきよりも鬱憤が溜まりだしていた。