「え?」
「トマトで、何か煮込んでて……
一番嫌いなやつ。
あんなの、食えない」
「……」
「チキンも、野菜も食べれるけど。
何でぐちゃぐちゃなトマトで煮込むかなっ!」
いきなり、オルが饒舌になったのは嬉しいです。
嬉しいですが、それはトマト煮込みの悪口だからです。
食べられなくてお腹が空いて、怒りがこみ上げてきたのですね?
見知らぬ私にも訴えたくなるくらい、大嫌いなメニューなのでしょう。
私が唯一作れて、多分何度も何度もオルに振る舞ったトマト煮込み……
「……何で、おねーさんが泣きそうな顔してんの?」
……また顔に出ていた。
ここは正直に言おうと思った。
ついでに大好きなメニューを聞いて、将来に備えてウチのシェフに教えを乞おうと思った。
「トマト煮込みって、私が唯一作れる料理なんだよ……」
「……あー、そ……
唯一、って、他に料理しないの?」
「あまり、得意じゃなくて……
オルくんは何が好きなの?
練習するよ! 教えてよ!」
ここでも私は嘘をついた。
あまり得意じゃない、ではなくて、ほとんど出来ないのに。
「俺の? 何で俺の……
卵だよ、卵料理なら何でも」
私はシェフが知る限りの、卵料理を教えて貰うことを決意した。
少なくとも、今回では。
『好きだよ、すごく好き』と、オルに嘘をつかせたくない。
「トマトで、何か煮込んでて……
一番嫌いなやつ。
あんなの、食えない」
「……」
「チキンも、野菜も食べれるけど。
何でぐちゃぐちゃなトマトで煮込むかなっ!」
いきなり、オルが饒舌になったのは嬉しいです。
嬉しいですが、それはトマト煮込みの悪口だからです。
食べられなくてお腹が空いて、怒りがこみ上げてきたのですね?
見知らぬ私にも訴えたくなるくらい、大嫌いなメニューなのでしょう。
私が唯一作れて、多分何度も何度もオルに振る舞ったトマト煮込み……
「……何で、おねーさんが泣きそうな顔してんの?」
……また顔に出ていた。
ここは正直に言おうと思った。
ついでに大好きなメニューを聞いて、将来に備えてウチのシェフに教えを乞おうと思った。
「トマト煮込みって、私が唯一作れる料理なんだよ……」
「……あー、そ……
唯一、って、他に料理しないの?」
「あまり、得意じゃなくて……
オルくんは何が好きなの?
練習するよ! 教えてよ!」
ここでも私は嘘をついた。
あまり得意じゃない、ではなくて、ほとんど出来ないのに。
「俺の? 何で俺の……
卵だよ、卵料理なら何でも」
私はシェフが知る限りの、卵料理を教えて貰うことを決意した。
少なくとも、今回では。
『好きだよ、すごく好き』と、オルに嘘をつかせたくない。



