想像していたのは、朝ベッドから起きて『えっ私16歳に戻ってる!』というやつだった。
 それか、顔を洗う時に鏡に映った自分を見て、えっ、えっ、って。
 両手で頬を押さえるやつ。
 ……19歳と16歳じゃ、外見はそんなに変わらないのだけれど。


 それがまさか。
 こんな食堂の、ランチのトレイを持った状態で
 (厳密に言うと、持たずに座っていたけれど)
 16歳に巻き戻ってしまうなんて、誰が想像しただろう。
 少なくとも、私は想像していなかった。

 どういうことなの!オル!



「お前、どれだけ神経太いんだ!
 ここは!3年の場所だ。
 お前みたいな新入生が座っていい場所じゃねーんだよ!
 早く消えろ!」


 え?そうなの?
 食堂、って学年で場所を決められてた?

 驚いて周囲を見渡せば、その通り、私以外は全員3年生の学年カラー、深緑色のタイを締めていた。
 つまり、入り口から一番奥で、なんとなく落ち着けるここは3年生エリアなのか。


 だけど、巻き戻り前の1年生だった時はこの席に座っていたような……と思い返して気付いた。