フィリップスさんの脅迫に(御本人はこんなことはしたくなかったと思う)
どうすればいいか、私はオルを窺った。
「ディナが俺の名前を言って」
それはとても小さな声。
テーブルを挟んで向かい側に座るフィリップスさんは勿論。
隣の私にさえも、聞こえるか微妙な程の、オルの囁き。
え?言ってもいいの?
だったら、どうして自分で言わないの?
「ディナが俺の名前を告げたら、オーウェンは
じぃじには何も言わない」
じぃじ!
私は人前では祖父のことをお祖父様と呼んでいたが、ふたりきりの時はじぃじ、と呼んでいる。
オルがそれを知っているのは、じぃじが彼にもそう呼ぶことを許している、ということだ。
次にオルは普通の声量で言った。
「さぁ、ディナ、俺の名前を言えば?
君には黙秘権は無いみたいだし」
「彼の名前は……オルシアナス・ヴィオン、です……」
「ヴィオン、君も素直に答えればいいのに、どうしてお嬢さんに言わせた?」
どうすればいいか、私はオルを窺った。
「ディナが俺の名前を言って」
それはとても小さな声。
テーブルを挟んで向かい側に座るフィリップスさんは勿論。
隣の私にさえも、聞こえるか微妙な程の、オルの囁き。
え?言ってもいいの?
だったら、どうして自分で言わないの?
「ディナが俺の名前を告げたら、オーウェンは
じぃじには何も言わない」
じぃじ!
私は人前では祖父のことをお祖父様と呼んでいたが、ふたりきりの時はじぃじ、と呼んでいる。
オルがそれを知っているのは、じぃじが彼にもそう呼ぶことを許している、ということだ。
次にオルは普通の声量で言った。
「さぁ、ディナ、俺の名前を言えば?
君には黙秘権は無いみたいだし」
「彼の名前は……オルシアナス・ヴィオン、です……」
「ヴィオン、君も素直に答えればいいのに、どうしてお嬢さんに言わせた?」