女王陛下が推進した女児に爵位継承権を与える法案が審議されて、閣議決定されたのが父の継承後。
 そこからの施行は、陛下の肝煎りなので早かったこともあり、モニカとしては悔しかったのだろう。


「伯爵家の悪評を領内に広めてきたモニカが今度は貴女の元に押し掛けてきた。
 ムーア氏は貴女が傷付けられないよう、彼女を見張るつもりでムーアで働かせようとしたが断られたので、私にモニカの素行調査を頼んできました」


「……もしかして祖父は、モニカとハイパー先輩がお付き合いを始めていたことも?」

「ハイパーが選んだ相手が貴女でなくて、安心されておられましたよ。
 ハイパー及び侯爵家の経済状況に関しては2年前、ノックスヒルを訪れた後、ペイジ夫人から依頼されて、調べていました」

 
 母は高等学院で親しくしているからとは言え、未婚の侯爵家の令息が後輩の未婚の貴族令嬢の実家に押し掛けてくる等、シドニーの行動に不審感を抱き、フィリップスさんにハイパー家を調べて貰っていたらしい。


 その結果は、エドワーズ侯爵家は歴史が古いだけで、現在ご当主は王城で大した仕事に付いている訳でもなく。
 資産の無い名ばかりの張りぼて貴族だった、とフィリップスさんは皮肉を交えて教えてくれた。


 だから、三流なんですよ、と。