あなたの霊を守ります 霊キャプター宮城の一日

 とは言ったものの宮城にもどうしていいのか分からない。 ただ川嶋たち普通の人間には糸口すら掴めないだろうことは容易に分かった。
「霊キャプターの総力を上げるしかないな。」 そうは思っているがキャプターたちは同士討ちを始めたばかり。
あっちからこっちから悲惨な情報ばかりが集まってくる。 その中でなんとか掻い潜ってきたのは僅かなグループだけだ。
 「アーシー、シアトルが反逆しました。」 「今度はシアトルか。 どうすればいいんだ?」
「今、古のキャプターたちも集いつつあります。 希望は捨てないほうが、、、。」 「それは分かってるがね、キャシー。」
ニューヨークも荒れてきている。 アーシーは不気味な足音が近付いてくるような気がしていた。
 宮城茂は広島にやってきた。 「この何処かに笹尾さんの呪いを解く鍵が有るはずだ。」
宮島といい厳島神社といい、原爆ドームといい、どっかに何かを隠して居そうな建物はたくさん有る。
 宮城は広島電鉄の沿線を歩いてみることにした。 その中にヒントが隠されているような気がして。
 もうすぐ昼である。 夏前というのに気温はもう30℃を伺っている。 「暑いなあ。 倒れそうだぜ。」
広電沿線に古い屋敷町が在る。 屋敷の陰にはうっそうと茂る雑木林が見えている。
「江戸時代くらいの建物なのかなあ? 古いな。」 何気に屋敷に近付いてみる。
すると、、、。 花弁の矢が飛んできた。
 「誰だ‼」 振り返っても誰も居ない。
「おかしいな。 確かに花弁の矢が飛んできたはずなのに、、、。」 宮城が壁に目をやると屋が腕に刺さった。
 「やっぱり誰か居るんだな? 姿を見せろ‼」 そこに現れたのは一人の女だった。
「お前は?」 「私はフラワーキャプター 凛。 ここまであなたを付けてきたわ。」
「何のために?」 「それは言えないわ。 あなただってそうでしょう?」
「気味悪いやつだな。」 何処までも付いてくるのか?」 「もちろんよ。 フラワーキャプターの行く所 必ず霊キャプター在り。」
 宮城は汗を拭きながら歩き始めた。 どうやら凛も黙ったまま付いてきている。
「そこには古い井戸が有るわよ。 気を付けて。」 「井戸?」
「そう。 1500年前に掘られた井戸ですって。」 「1500年前?」
 確かに古そうな井戸である。 宮城が中を覗こうとすると、、、。
「覗かないほうがいいわ。 あなたもあの人みたいになりたいの?」 「あの人って? まさか笹尾のことか。」
 「この井戸は呪いの井戸って呼ばれてるの。 面白半分で覗き込んだ人たちが事件を起こしたり自殺したりしてるのよ。」 「詳しいんだな。」
「私も羊舞を追っている一人だから。」 「そうなのか。」



 「川嶋さん、明日から広島に行ってきます。」 「何てったって広島?」
「ええ。 広島は笹尾さんの故郷です。 そこに行けば謎を解く鍵が有りそうな気がして。」 「とは思うけど一人で大丈夫か?」
「俺のことなら心配要りません。」 「分かった。 気を付けるんだぞ。」

 それから宮城は広島へ飛んだ。 笹尾が生まれた町である。
広島にだって宮島とか厳島神社とか原爆ドームとか怪奇に襲われそうな場所はいくつも有る。 かつて原爆で焼き尽くされた町なんだ。
何が起きても何が居ても不思議じゃない。 彼は広島電鉄の沿線を訪ね歩くことにした。
 広電沿線から少し離れると古い家並みが見えてくる。 その背後にはうっそうと茂る雑木林も見えてくる。
その一角、漆喰の剥げかけた屋敷のような蔵のような建物に近付いた時だった。 「何だ?」
目の前の壁に花弁の矢が刺さった。 「誰か居るのか?」
それでも辺りには陰すら見えない。 彼が歩き出そうとすると2本目の矢が飛んできた。
 矢が飛んできた方向に目をやると一人の女が宮城を見据えるように立っていた。 「お前は?」
「私はフラワーキャプター 凛。 予てからお前を追っていた。」 「俺を? なぜ?」
「訳などどうでもいい。 この命を懸けるに相応しい男だと見た。」 「どういうことだ?」
「お前もあの男が死んだ因縁を探しているんだろう?」 「何故お前がそれを?」
「まあいい。 この屋敷群は気を付けるんだ。 羊舞が育てたやつらが隠れてるんだから。」 「羊舞、、、。」
 歩いているとかなりボロボロになった井戸が見えてきた。 「何だろう?」
「覗くんじゃない。 吸い込まれるぞ。」 凛が警告する。
フラフラと歩いてきた犬が一瞬でその井戸に吸い込まれていくのが見えた。 「何ていう井戸だ。」
「この辺のことは知らないんだろう? 私が先を行くよ。」 凛と名乗った女は宮城の前に立った。
 会ったことも無いはずなのに凛はずっと宮城を追い掛けていた。 (それにしてもフラワーキャプターとは何なんだ?)
屋敷群を右に身ながら迷うことも無く歩いて行く。 黒髪のきれいな女だ。
 「ボス、彼女はずっと前に羊舞と戦っていた女ですよ。」 「戦っていた女?」
「そう。 あの男が呪いを掛けられたこの町で。」 「ということは?」
「ボスにとっては味方になる女です。 まだまだ居るはずですよ。」 「そうか。」
 フラワーキャプター、居なさそうで居てもおかしくないかも。 宮城はそう思った。