減っていく記憶を,私はどうしてもまだ捨てられなかった。 両親がきっとまだ変わらない家で生きているからなのか,私は私が生きていたことを忘れたくない。 青春の全てのようだった陸斗を,忘れられない。 小学生の頃,賢いキャラ付けがされたからか,前世よりモテた私。 告白されなかった訳じゃなかったけど。 やっぱり私はまだ,いいかなぁ。 陸斗,好き。 もう伝えられないのに。 不完全燃焼の恋が,たまにじくりと染み渡る。