廻った世界で,また君と恋を紡ぐ。



「うーん,一言で言うと……紅葉かな」

「わっ私?」



高峯さん,私1度も会った覚えなんてないんだけど。



「友達は多いのに,いっつも気付いたら1人なの。誰の告白も受けないーとか,余計な約束が嫌いーとか,なんか噂が独り歩きしてて」



生きづらそうだと,私は他人事に思った。

約束,なんて特にセンチメンタルで。

今日出会ったあの人が口にするとはとても思えない。

噂は噂,なのかな。



「なんかさ,1人だけ遠くを見てるみたいで。自分が水に混ざる油みたいに,他人に1歩引いてたり,変な顔してんの。人を何かに誘うとこなんて見たこともなくて,それも約束? に入るのかなとか思ったりして」



お姉ちゃんは言いづらいのか,困った顔をして。

瞳に私を映していた。



「時々,紅葉見てるみたいだった。それで,気になって……その,興味本意で? 話しかけたり餌付けしたりしてたら仲良くなったんだよね。心開いてくれた? って言う方がただしいのかもだけど」



お姉ちゃん……

私は今,馴れ初めを聞いてるんだよっ?

気になってって言うのはロマンチックだけど,餌付けって表現はどうなの?

お姉ちゃんの言う餌って多分,お菓子,だよね。

お菓子で仲良くなったから,あんなにスムーズだったってこと……?

まぁ,いっか。