若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜

「なんで柊君にあんな心配させるような事言うの?」
花は怒り気味に康生に抗議する。

「アイツがまったく花の体調を分かってないから教えてやったんだろ?
…胎教に良く無いからあんまり怒るな。
とりあえず、車に乗れるか?」

妊婦をあまり怒らせてはいけないと、康生は心配して花を車に乗せ、換気に気をつけながらゆっくりと車を走らせる。

「康君て、たまに柊君に歯向かうとこあるよね。信じられないんだけど。」
花はまだぷりぷりと怒り続ける。

「分かったから、俺が大人気なかった。
ごめん、謝るからそんなに怒るな。」

花の気持ちの変化が、赤ちゃんに悪影響を与えてはいけないと、康生は心配でならない。

「私、実家には帰らないからね。
柊君が居ると不思議と悪阻が治るの。だから柊君は知らないし、出来れば知らせたくなかったの。」

「それは違うんじゃ無いか?
夫婦なんだしちゃんと隠さず伝えるべきだ。花は子供の頃からそうだ。
自分が不調な時ほど隠そうとする。
兄貴だって、ちゃんと話して貰えた方が嬉しい筈だぞ。」

「分かった…ちゃんと話すから。」
花もふぅーっと深呼吸して気持ちを落ち着ける。

お陰で車の中では気持ち悪くならずに、家に帰る事が出来た。