若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜

この反応は柊君の事を知ってる人の反応だと思い私はドギマギしてしまう。

これは…出来る限り早く帰らなければと気持ちが焦る。

「あの、お迎えが来たので…今日はこれで帰ります。」
慌て気味に立ち上がりカバンから財布を出そうとすると、柊君が何気なくその手を止めて自分の内ポケットから財布を出し、お札を2枚机に置いた。

「すいませんが、お先に失礼します。これで皆さんで楽しんで下さい。」

柊君はにこやかに微笑み頭を軽く下げて、私をエスコートする様にその場を離れようとする。

「ちょっと待って下さい。あの、良ければ何かアドバイスを頂きたいのですが。」
遠藤先生が突然立ち上がり柊君の腕を掴む。

えっ!?

その場にいる誰もが驚き動きを止める。

「花先生もちょっと座って。」

遠藤先生のいいなりにまた椅子に座り直す。
柊君は私の横の席に導かれるまま不思議そうな顔で座る。

「アドバイスとは?どう言う事でしょうか?」

柊君が花をチラリと見ながら目線を遠藤に合わせる。