「はぁー楽しかった。」
夕方過ぎて辺りも暗くなった頃、柊生と花は家路に着く。

「一日中歩き回って、水に浸かってたから、疲れただろ。車の中で寝てくれていいからな。」
柊生は運転しながらそう花に言い聞かす。

はしゃぎ過ぎて疲れたのに、明日はすでに仕事がある。

こういう時に子供の頃の花はよく熱を出していた。

心配になって、花の額に手のひらを当てる。
今のところは大丈夫そうだ。

「心配しなくても大丈夫だよ。もう、子供じゃ無いんだから。」
ふふっと花が笑う。

夫である柊生は、時に兄のように厳しく、母のように心配する。
そして、男の顔をして時に花を翻弄する。

運転する横顔をこっそり見ながら花は幸せに浸っていた。