本当に今日中に帰って来られるのだろうか。

スマホを握りしめ、交通機関の遅延や運休が無いかを調べてみる。

新幹線は既に、17時に運休になっていた。

今は19時半…

16時には向こうを出ると言っていたから、
もしかしたら途中で止まってしまったのかもしれない。

花は涙目になりながら何度となくスマホをタップする。

家に帰って来てから、音信不通の状態で旦那様とは連絡が取れていない。

駅が混み合っているのだろうか…。

それとも何かあったのかも…

どうしても、悪い方向に思考が引っ張られてしまう。

こんな時、もしかしたら会社の方に連絡が入っているかも…と、花は思い立ち、
柊生の会社の電話番号をスマホで探し始める。

今年の1月に彼が立ち上げた会社は、従業員として事務員が2人、営業が1人、スケジュール管理をする秘書が1人、そして柊生を含めた計5人の精鋭部隊だ。

元々彼がやりたかった仕事がこのコンサルティング会社だった。

花が初めて柊生から、この仕事の話しを聞かされた時、話しの半分も理解出来ず…

『凄いね。大変そう…』を繰り返し、
彼と自分との学の違いを痛感した。

だけど、分からないながらも応援し協力したいと日々思う。

それだから、仕事が泊まりがけになろうが海外になろうが、何も言わずに笑顔で送り出す事を心に決めている。

私には、それしか旦那様の為に出来る事は無いと思っている。