保育園の紅葉が真っ赤に染まり、ヒラヒラと落ちて園庭を染める季節になった。

夕日に照らされて、益々真っ赤に染まった園庭を見下ろしながら、花は綺麗、と手を止めてしばし窓の外に見とれる。


産休に入るまで残り1週間をきり、
名残り惜しそうに園内の戸締りを身重の体を労りながらゆっくりと回る。

今夜の夕飯は何にしようかな?

冷蔵庫の中を思い出し、夕飯の献立を考えながら階段をゆっくりと注意深く降りる。

「花先生……。」

不意に誰かに呼ばれた気がして振り返る。

と、ふわっと体が後ろに傾き、アッと思った時には既に遅く……

身体が宙に投げ出される。

咄嗟にお腹を庇うが、背中に受ける衝撃と頭に響く激痛で花の記憶はそこで途絶えた。