そう、安らかに。


彼女に一時の安息を。



「次に会えたらまた、お前のことを話してくれ。
飽きるまで、ずっとだ」


「ふふ……うん。絶対、絶対……ね。
楽しみ、してるか…ら…。
私……神威(かむい)を…あ、いし…」



瞳は光を失った。


繋いだ手から力が抜けた。


心臓の鼓動が止んだ。


体の芯まで感じた温もりが消えた。



彼女の生気も全て、感じられなくなった。


唇をきゅっと結び、涙を堪える。



最期まで懸命に閉じまいとしていた、薄く開かれた瞼をそっと閉じてやる。



まるで真に眠っているように安らかな、美しい少女の頬を撫で、口付けをした。



彼女の言葉は、届かなかった。


けれどその時を信じて待っている。


何度生まれ変わっても、ずっと。



『私は、貴方を――…』