春色ドロップス

 5月4日、この日は元々休日じゃなかったんだ。 それがいきなり《国民の休日》にされてしまってさらに{みどりの日}って呼ばれるようになった。
国民の休日なんて舐め腐ってるよなあ。 言われなくても休んでますわ。
 っていうかさあ、嬉しくもない休みを増やされて困ってるんだけどなあ ぼくらは。 何で休みにしたの?
それってさあgwの数合わせのためなんでしょう? 長い連休にすれば金を使ってくれるだろう。
残念でしたねえ。 半分以上の国民は働いてますよ。
 そんな4日は予定が無くて部屋の中でゴロゴロと転がってます。 会いに来る人も会いたい人も居ないから。
外では相変わらず子供たちが元気に走り回ってます。 10年前のぼくらを見てるみたい。
あーーーーら懐かしい。

 その頃、ミナッチは布団の中で苦しんでおりました。 どうも本格的に風邪をひいたらしくて。
なんとかレモンジュースを飲みながら熱い体を持て余してます。 昨日は元気だったのに、、、。
 彩葉はマイペースに教科書を広げてますねえ。 そしてまたこれもいつもと同じで気付いたら寝てます。
窓はカーテンを下ろしているので真っ暗。 なんか夜みたい。
 「彩葉ーーーーー。」 いつものごとくにお母さんもクスッと笑って彩葉を起こします。 「おはよう。」
「今って何時?」 「12時半よ。」
「そっか。 思い切り寝ちゃった。」 「思い詰めてるんじゃないの?」
「そうかなあ?」 「一人なんだって思ってない? お母さんも健太君も居るんだからね。」
「そうだよね。」 「頼りになるかどうかは分からないけどお父さんだって居るんだから。」
そう言ってお母さんは昼食を机に置いて行くのでした。

 つかさはショッピングモールで思い切り羽を伸ばしてます。 あっちこっちを見て回ってますよ。
「あれもこれも欲しいなあ。」 「じゃあ彼氏を捕まえて買ってもらいなさいよ。」
「買ってくれそうな人 居ないのよねえ。」 「じゃあ言うなよ。」
父さんたちも品定めに忙しいらしい。 そんなブランド品は置いてないんだけどなあ。
 つかさの父さんは何を隠そう 新幹線の運転手なのであります。 だから時々は大阪に泊まったり、、、。
 お土産もくれたりしてね。 乗ってるのはn700s。 現時点で最高の新幹線だ。
たまの休みがgwと重なったんです。 じゃなかったらショッピングモールなんて来ない。
 夕方には買い物を済ませて歩き疲れたつかさも寝てしまったんだそうな、、、。 ご苦労さん。

 さてさてこどもの日が来ました。 でも何でこどもの日なの?
じゃあさあ何で大人の日は無いの? こどもの日と敬老の日は有るんだから大人の日も有っていいはずだよねえ?
でも誰も作ろうとは言わなかった。 なぜ?
 おまけにさあ3月3日は桃の節句だよね? でも女の子の日とは言わない。
何故なんだろう? 言ってもいいはずなのに。
何だか変なことばかり考えているぼくなんです。 おばあちゃんの日が有ったらどうなんだろう?とか、、、。
 昼になりフラリト外へ出てみた。 風も強くなくていい気持ちだなあ。
近くの公園では子供たちがボールを蹴って遊んでいる。 最近の公園ではボール遊びを禁止している所も有るのに、、、。
 昔は空き缶を蹴飛ばして遊んだり土管に潜り込んでかくれんぼをしたりしてたって聞いたよなあ。 鬼ごっこだってよくやった。
でも今は危ないだの何だのって何も分かってない親が口だけ出して偉そうに言ってくるんだよね。 だから子供たちはおうち小僧になっちまった。
それで何をしているかというとアプリゲームに嵌り込んでいる。 「公園に集まれ。」って号令したらみんながゲームを持ってきたって笑えない話が有るくらいだからね。
 かくれんぼをし、鬼ごっこをする。 はたまたオセロやトランプをする。
そこには必ず決まりが有るし守らなきゃいけないチームワークが有る。
 何人かで遊んでいるうちに子供たちは決まりを守ることとチームワークを大切にすることを学んでいく。 それが大人になった時に財産になってきたんだ。
でも今はそれが無くなってしまった。 親しか関わらないから社会ってやつが分からなくなってる。
だからバスの中で異常な大騒ぎをしたりするんだ。 迷惑千万だよね。
だからってそれを叱り付ける大人も居なくなった。 大人が社会を壊してきたんだ。
 事件が起きればそれを批判し、騒動が起きれば上から揉み消し、問題が起きれば法律を作ってきた。 そんなんでいいのかなあ?
確かに日本は法治国家だけどさあ、議員でも覚えていられないくらいに法律が多過ぎないか?
クラーク先生じゃないけど「人間よ 紳士たれ。」の一つでいいじゃない。 ダメなの?
 ぼんやりと空を眺めてみる。 真っ蒼な空気のあの向こう側には何が有るんだろう?
あの上のほうには宇宙ステーションも飛んでるんだよね? そしてこれまたとんでもない数の人工衛星が飛んでいる。
何年か先には今の軌道を使えなくなるって話が有る。 それでいいんだろうか?
 そもそも人工衛星をこんなにたくさん打ち上げてメリットが有るのかな? みんなその時のことだけ考えてるよね。
使い終わった衛星はどう処分するのかな? 落ちてくれば勝手に燃えてくれるからいいだろう。
そう思っている人たちも多いけどそれでいいのかな? 落ちてくる前に軌道上で事故を起こされたら厄介なことになるんだけどなあ。
 使用済み衛星を遠い軌道に移してる人たちも居るけどそれだって今だけでしょう? そこが満杯になったらどうするの?
もっと上の軌道に捨てるのかな? そこまでのエネルギーはもちろん無いよね?
 便利だから 最新鋭だから 暮らしのためだからって理屈は分かるけど何か大事なことを見失ってないか? あんまりにも電子技術に頼り過ぎだよね?
そんなことばかりやってるから人間性が偏るんだよ。 面と向かって話も出来ないやつが増えたじゃない。
技術を自慢するのもいいけどさあ、もっと人間を大事にしなよ。

 家の前をパトカーが走っていった。 (何か有ったのかな?)
京都で男の子が殺される事件が起きて2か月。 大変な世の中になったなあ。
 うちはまだまだ平和なほうだってことだね。 そりゃあ喧嘩くらいはするけどさ。
しばらく外に居たけど暇を持て余してしまって部屋に戻ってきた。 スマホが鳴ってる。
取り上げてみたら電話だった。 しかもまた馬宮だ。
 そのまま放置してると5分くらいで電話は切れた。 余程に暇なんだなあ。
休み明けで学校に行ったら吉岡先生に報告してやろうかな。 うーーーん、どうしようねえ?
 つかさだってあいつには嫌気が差してるだろうなあ。 と思ったら電話を掛けてきた。
「ねえねえ健太。 馬宮君から電話こなかった?」 「来たよ。」
「やっぱりか。 よっぽどに暇なんだろうねえ。」 「たぶん、意地悪したいだけじゃないの?」
「そうかなあ?」 「だってさ、お嬢も掛かってきたって言ってたもん。」
「なぬ? お嬢も?」 「だからたぶん、みんなに掛けてるんだよ。」
「馬鹿だよなあ。」 「学校に行ったら校長室も大騒ぎじゃないかなあ?」
「何で?」 「だって電話もメールも禁止されてるのにさあ、、、。」
「お嬢は電話に出たのかな?」 「出たんだって。 だから慌ててぼくに掛けてきたんだよ。」
「ったくもう、、、。 何も考えてないのよね。 あの人。」 「勉だってイライラしてるんじゃないかなあ?」
「たぶんね。 聞いてみるわ。」 電話を切るとぼくは床に寝転がった。