「実はさ、食事会の日程が決まったんだ。」 「へえ。」
「詳しいことはこれに書いておいた。 場所はつかさのおばさんがやってる食堂だよ。」 「あそこか。 しばらく行ってなかったなあ。」
「つかさと勉とぼくと折原さんと副担任のミナッチ。 それに彩葉。」 「そうなんだね。 ありがとう。」
「勉強のほうはどう?」 「今日はさあ国語をやってたの。 でも読みながら寝ちゃって、、、。」
「一人だもんなあ。 大変だよね。」 「でもさ、みんなのことを考えながら頑張ってるから。」
「そのうちに勉たちも来るってさ。」 「嬉しいなあ。 待ってるね。」
食事会の日程表はこちら、、、。
日時=4月30日 日曜日 午後6時半から。
場所=さざ波食堂。
参加者は彩葉と仲のいい人たち。
何で午後6時半からかって言うと彩葉のことを考えたから。 真昼間のお日様も元気な時に出てこいなんて言えないよ。
馬宮たちならそう言って誘ってくるんだろうけどなあ。 気になるのはミナッチ。
唯一、彩葉とは初対面なんだ。 まああの性格だから仲良くなってくれるとは思うけど、、、。
「さざ波か。 ずいぶんと行ってないなあ。」 「そうだっけ?」
「だって私が行ってたのは小4の頃だからね。」 「じゃあ久しぶりだね。」
ぼくは国語のノートをチラッと見た。 「恥ずかしいなあ。」
「ぼくのほうがもっと恥ずかしいよ。 ここまで細かく書いてないんだから。」
さざなみ、、、つかさの叔母さんがやってる食堂で煮物が美味いって評判らしい。 彩葉もよく行ってたって聞いたっけ。
塩ラーメンとか月見うどんとか食べてたって言ってたなあ。 ぼくもたまには行くけど、、、。
テーブルは確か10個ほど。 一番奥の二つを借り切ったわけ。
勉もどっか嬉しそう。 だよなあ、あいつらから守ってくれてたのは勉だから。
つかさが馬宮を睨み付けて説教を始める。 やつは必ず逃げ出すから後は勉の出番だ。
「健太‼ 体当たりしてくれ!」 時々ぼくに勉が言ってくる。
体当たりして引っ繰り返った馬宮を勉が押さえ付ける。 「まいたまいった。 勘弁勘弁。」
手足をバタバタさせながらゴキブリホイホイに捕まった甲虫みたいにもがいている馬宮を蹴り飛ばしてから勉はニヤッと笑うんだ。
「さあ逃げようっと。」 「好きにしろよ。 ボケナス。」
「はーーーーい。 ボケナスちゃんでーーーす。」 「お前はもう死んでいる。」
「まだ生きてるもんねえだ。」 「飽きないやつだなあ。」
「勉、ほっとこうよ。」 「そうだな。 次は音楽だし、、、。」
そんなことをやりながら過ごしていた小学生時代。 彩葉はいつもぼくらの陰で泣いていた。
「灰原君、、、。」 「いいんだよ。 つかさも勉も分かってくれてるから。」
「そうだよね。 信じていいんだよね。」 そう言いながら彩葉はぼくの後ろに隠れるんだ。
「健太、あんたさあ彩葉ちゃんに好かれてるんだねえ。」 「そうかな?」
「だってあんた、いっつも彩葉ちゃんの傍に居るじゃない。 ずっと守ってあげなさいよ。」 「そうだなあ。」
「何 頼りないことを言ってるんだ? それじゃあ彩葉が可哀そうだぞ。」 勉がぼくに説教をする。
それでまあ、ここまでぼくは彩葉の傍に居たわけだ。 これからもずっと居るよね。
彩葉は食事会のメモを見ながら気持ちが高鳴っていくのを感じていた。 まだまだ会ったことの無い折原さんやミナッチがどんな人なのか?
(灰原君が声を掛けたくらいだから優しい人たちなんだろうな。) そうは思ってもやっぱりどっかで警戒している。
警戒していながらどっかで興味も涌いてきている。 複雑な気持ちだ。
次の日も彩葉は一人で机に向かっていた。 「今日は社会をやろうかな。」
中学時代も何となく好きだった社会科。 教科書を捲りながら溜息を吐いたり新発見に驚いたりしている。
昼になると疲れてしまった彩葉はノートを枕に寝てしまった。 そこへお母さんが入ってきた。
「あらあら彩葉、お昼寝?」 「え? 今って何時?」
「1時よ。」 「そっか。」
毎日毎日、教科書と睨めっこしては寝てしまって昼食を運んできたお母さんに起こされるんだ。 やっちゃったな。
そうは思うけど全日制には通えないし夜間も大変だし、、、。 それを思って通信制を選んだんだ。
(このアレルギーさえ無かったら、、、。) 何度も悔やんでみた。
「あんたが悔やんだってどうしようもないのよ。 つかさちゃんや灰原君たちが見守ってくれてるんだから自信を持ちなさい。」 お母さんはいつもそう言って笑っている。
「死にたかったらいつ死んだっていいわよ。 でもそれで誰か喜ぶ人は居るのかな?」 そう言われてドキッとする。
つかさちゃんや健太君が悲しそうな顔をするのは見るのも嫌だ。 そう思ったら生きるしか無いなって思えてくる。
そしてまた改まった気持ちで教科書に向かうんだ。 いつもそうだよね 私。
時々、つかさちゃんからメールが来る。
『頑張ってるかーーーーい? 勉も健太もみんなで応援してるから負けるんじゃないぞーーーー‼💪』
そうやってずっとみんなが見守ってくれている。 悪いなって思う時も有るけど、、、。
「いいんだよ。 彩葉を虐めてたあいつらさえ近付かなかったらそれでいいんだ。」 勉君だってそう言ってくれてる。
私はいつもみんなに(ありがとう。)って思いで教科書を開く。 でも気付いたら教科書を枕にして寝ちゃってるんだ。
ハタと気付いてノートを読み返す。 それからまた教科書に目を落とす。
気付いたら4時を過ぎていて灰原君が電話を掛けてきてくれる。 「どうだい?」
「まあまあかなあ。」 「ぼくらもそうだよ。 一緒に頑張ろうね。」
「うん。」 返事は明るくするんだけどどっか、、、。
でもさあ、灰原君がアイスを買って遊びに来てくれたりするんだよね。 ずっとずっと灰原君は私の隣に居てくれてる。
「彩葉も好きだったから買ってきたよ。」 照れながらアイスを渡してくれる。
「いいわねえ。 こんな彼氏が居て。」 「お母さん、彼氏じゃないってば。」
「そんなこと言ってていいのかなあ? 灰原君は小学生の頃からずーーーーーっと、、、。」 「分かった。 分かったから。」
羨ましそうに彩葉を見詰めているお母さんのあの顔、、、。 太陽アレルギーがはっきりした時には何度も死のうとしてたのに、、、。
馬宮たちが虐めてるのを聞いた時、「私が仕返ししてくるわ。」って飛び出していこうとしてたんだよね。
「お母さん 俺たちに任せてください。」 勉は必死にお母さんを思いとどまらせてからこう言った。
「馬宮たちは良かろうが悪かろうが俺たちのクラスメートです。 クラスメートのことは俺たちに任せてください。」
彩葉のお父さんも殴り殺したい気持ちを抑えながら言ってくれた。 「分かった。 君の言うことを信じるよ。」って。
それから今までぼくらは馬宮たちを懸命に抑えてきた。 そして彩葉を護ってきた。
だから今が有る。 ぼくはそう思う。
「詳しいことはこれに書いておいた。 場所はつかさのおばさんがやってる食堂だよ。」 「あそこか。 しばらく行ってなかったなあ。」
「つかさと勉とぼくと折原さんと副担任のミナッチ。 それに彩葉。」 「そうなんだね。 ありがとう。」
「勉強のほうはどう?」 「今日はさあ国語をやってたの。 でも読みながら寝ちゃって、、、。」
「一人だもんなあ。 大変だよね。」 「でもさ、みんなのことを考えながら頑張ってるから。」
「そのうちに勉たちも来るってさ。」 「嬉しいなあ。 待ってるね。」
食事会の日程表はこちら、、、。
日時=4月30日 日曜日 午後6時半から。
場所=さざ波食堂。
参加者は彩葉と仲のいい人たち。
何で午後6時半からかって言うと彩葉のことを考えたから。 真昼間のお日様も元気な時に出てこいなんて言えないよ。
馬宮たちならそう言って誘ってくるんだろうけどなあ。 気になるのはミナッチ。
唯一、彩葉とは初対面なんだ。 まああの性格だから仲良くなってくれるとは思うけど、、、。
「さざ波か。 ずいぶんと行ってないなあ。」 「そうだっけ?」
「だって私が行ってたのは小4の頃だからね。」 「じゃあ久しぶりだね。」
ぼくは国語のノートをチラッと見た。 「恥ずかしいなあ。」
「ぼくのほうがもっと恥ずかしいよ。 ここまで細かく書いてないんだから。」
さざなみ、、、つかさの叔母さんがやってる食堂で煮物が美味いって評判らしい。 彩葉もよく行ってたって聞いたっけ。
塩ラーメンとか月見うどんとか食べてたって言ってたなあ。 ぼくもたまには行くけど、、、。
テーブルは確か10個ほど。 一番奥の二つを借り切ったわけ。
勉もどっか嬉しそう。 だよなあ、あいつらから守ってくれてたのは勉だから。
つかさが馬宮を睨み付けて説教を始める。 やつは必ず逃げ出すから後は勉の出番だ。
「健太‼ 体当たりしてくれ!」 時々ぼくに勉が言ってくる。
体当たりして引っ繰り返った馬宮を勉が押さえ付ける。 「まいたまいった。 勘弁勘弁。」
手足をバタバタさせながらゴキブリホイホイに捕まった甲虫みたいにもがいている馬宮を蹴り飛ばしてから勉はニヤッと笑うんだ。
「さあ逃げようっと。」 「好きにしろよ。 ボケナス。」
「はーーーーい。 ボケナスちゃんでーーーす。」 「お前はもう死んでいる。」
「まだ生きてるもんねえだ。」 「飽きないやつだなあ。」
「勉、ほっとこうよ。」 「そうだな。 次は音楽だし、、、。」
そんなことをやりながら過ごしていた小学生時代。 彩葉はいつもぼくらの陰で泣いていた。
「灰原君、、、。」 「いいんだよ。 つかさも勉も分かってくれてるから。」
「そうだよね。 信じていいんだよね。」 そう言いながら彩葉はぼくの後ろに隠れるんだ。
「健太、あんたさあ彩葉ちゃんに好かれてるんだねえ。」 「そうかな?」
「だってあんた、いっつも彩葉ちゃんの傍に居るじゃない。 ずっと守ってあげなさいよ。」 「そうだなあ。」
「何 頼りないことを言ってるんだ? それじゃあ彩葉が可哀そうだぞ。」 勉がぼくに説教をする。
それでまあ、ここまでぼくは彩葉の傍に居たわけだ。 これからもずっと居るよね。
彩葉は食事会のメモを見ながら気持ちが高鳴っていくのを感じていた。 まだまだ会ったことの無い折原さんやミナッチがどんな人なのか?
(灰原君が声を掛けたくらいだから優しい人たちなんだろうな。) そうは思ってもやっぱりどっかで警戒している。
警戒していながらどっかで興味も涌いてきている。 複雑な気持ちだ。
次の日も彩葉は一人で机に向かっていた。 「今日は社会をやろうかな。」
中学時代も何となく好きだった社会科。 教科書を捲りながら溜息を吐いたり新発見に驚いたりしている。
昼になると疲れてしまった彩葉はノートを枕に寝てしまった。 そこへお母さんが入ってきた。
「あらあら彩葉、お昼寝?」 「え? 今って何時?」
「1時よ。」 「そっか。」
毎日毎日、教科書と睨めっこしては寝てしまって昼食を運んできたお母さんに起こされるんだ。 やっちゃったな。
そうは思うけど全日制には通えないし夜間も大変だし、、、。 それを思って通信制を選んだんだ。
(このアレルギーさえ無かったら、、、。) 何度も悔やんでみた。
「あんたが悔やんだってどうしようもないのよ。 つかさちゃんや灰原君たちが見守ってくれてるんだから自信を持ちなさい。」 お母さんはいつもそう言って笑っている。
「死にたかったらいつ死んだっていいわよ。 でもそれで誰か喜ぶ人は居るのかな?」 そう言われてドキッとする。
つかさちゃんや健太君が悲しそうな顔をするのは見るのも嫌だ。 そう思ったら生きるしか無いなって思えてくる。
そしてまた改まった気持ちで教科書に向かうんだ。 いつもそうだよね 私。
時々、つかさちゃんからメールが来る。
『頑張ってるかーーーーい? 勉も健太もみんなで応援してるから負けるんじゃないぞーーーー‼💪』
そうやってずっとみんなが見守ってくれている。 悪いなって思う時も有るけど、、、。
「いいんだよ。 彩葉を虐めてたあいつらさえ近付かなかったらそれでいいんだ。」 勉君だってそう言ってくれてる。
私はいつもみんなに(ありがとう。)って思いで教科書を開く。 でも気付いたら教科書を枕にして寝ちゃってるんだ。
ハタと気付いてノートを読み返す。 それからまた教科書に目を落とす。
気付いたら4時を過ぎていて灰原君が電話を掛けてきてくれる。 「どうだい?」
「まあまあかなあ。」 「ぼくらもそうだよ。 一緒に頑張ろうね。」
「うん。」 返事は明るくするんだけどどっか、、、。
でもさあ、灰原君がアイスを買って遊びに来てくれたりするんだよね。 ずっとずっと灰原君は私の隣に居てくれてる。
「彩葉も好きだったから買ってきたよ。」 照れながらアイスを渡してくれる。
「いいわねえ。 こんな彼氏が居て。」 「お母さん、彼氏じゃないってば。」
「そんなこと言ってていいのかなあ? 灰原君は小学生の頃からずーーーーーっと、、、。」 「分かった。 分かったから。」
羨ましそうに彩葉を見詰めているお母さんのあの顔、、、。 太陽アレルギーがはっきりした時には何度も死のうとしてたのに、、、。
馬宮たちが虐めてるのを聞いた時、「私が仕返ししてくるわ。」って飛び出していこうとしてたんだよね。
「お母さん 俺たちに任せてください。」 勉は必死にお母さんを思いとどまらせてからこう言った。
「馬宮たちは良かろうが悪かろうが俺たちのクラスメートです。 クラスメートのことは俺たちに任せてください。」
彩葉のお父さんも殴り殺したい気持ちを抑えながら言ってくれた。 「分かった。 君の言うことを信じるよ。」って。
それから今までぼくらは馬宮たちを懸命に抑えてきた。 そして彩葉を護ってきた。
だから今が有る。 ぼくはそう思う。



