それから、クーは何度も会いに来た。
 毎度毎度食事を所望して、そのメニューは決まって「シチュー」。
 それも、シチューを食べるたびに号泣、と言っていいほど涙を流すので、エリナはいつも呆れ半分困惑半分でその様子を見守るのだ。

「クー、今までどんなシチューを食べて来たのよ」

 先日も、クーはエリナの作ったミルクたっぷりのシチューを食べて、嗚咽をこぼしながら泣いていた。
 育ての親のシチューによく似ているから、と言われたことがあるが、エリナは間違っても泣きキノコなんかの毒キノコは混入させていない。

「うーん……。そうだなあ、しいて言えば、豆から作ったミルクと兎のシチュー、ですかね」
「節約レシピね」

 それも、かなりニッチな節約レシピだ。