ホカホカの兎シチューとパン、それから残り野菜で作ったサラダにドレッシングをかけて食卓に並べる。
 兎のシチューは白い色をしていて、バターの香りはしないけれど、エリスティナが母に作ってもらったシチューによく似ていた。

「わあ、おいしそうだね、エリー!」
「ふふ、おかわりはたくさんあるから、たんとお食べなさい、クリス」
「うん!僕、エリーの料理が世界で一番おいしいと思う。大好き!」
「もっとおいしいものは、たくさんあるわよ……?」

 エリスティナはそう言って、自分の前に行儀よく並んだシチューを見下ろした。
 代替品ばかりの、シチューもどき。

 畑の大豆を水で戻し、良く煮たものを濾すとミルクのようなものができるのよ、とは、母の知恵だ。畑のもので自給自足していた経験が、今のエリスティナにクリスを満足に食事させられるだけの技術を授けてくれていた。