しかし、その希望が崩れたのはそれからすぐのことだった。
エリスティナがこのところ幸せそうにしていることに、生きがいを感じているように見えることに目ざとく気づいた召使の一人がカヤへと報告し、それを知ったカヤが予告もなく、突然離宮へとやって来たのだ。
「ごきげんよう、エリスティナ」
「……ごきげんよう、カヤさま」
挨拶だけはしたが、カヤはエリスティナに敬語を使うこともなく、目を合わせることもなかった。一応、カヤが番であるとはいえ、まだエリスティナが王妃なのであるが、そんなことはカヤの頭の中にはないらしい。
優雅に礼をとったエリスティナに対して、カヤは手をぱっぱと振って返しただけだった。
「それにしても、相変わらずぼろいところね」
「お恥ずかしい限りです……」
エリスティナが殊勝に答えたので、カヤはふんと鼻を鳴らして眉を吊り上げた。



