「本当に、お似合いです。いよいよこの日が来たのですね……」

 白く、向こうが透けて見える長いヴェールを着せつけてくれたダーナがそう言って涙ぐむ。
 エリナはにっこりとほほ笑んで、ダーナを振り返った。
 今日は、竜王クリスと、その番、エリナの結婚式だ。

 白いドレスには同じ白の絹糸でたくさんの花々が刺繍されており、裾には小さな真珠が無数に縫い付けられていた。エリナが歩くたびにしゃらりと鳴り、きらきらと輝くドレスはそれそのものが国宝級の品物だろう。

 こういう時は、前世が貴族の生まれでよかったと思う。
 長いドレスを着ることに、ヒールの高い靴を履くことになれているから。

 首に巻いた大ぶりのダイヤのネックレス、耳に飾った真珠のイヤリング。

 そんな、白いばかりのドレスの中で、ひときわ目立って輝く、緑がかかった虹色に輝くペンダント。
 竜王の鱗を身に着けたエリナを、召使たちやダーナは賞賛した。

 かわいらしい、美しい花嫁だと。
 花嫁なんてみんな綺麗なものだわ、と思っていたエリナだったけれど、今日だけは自信をもっていいかもしれない。そう思うほど、今日のエリナは自分で言うのもなんだが鏡で見ても綺麗に見えた。