「きっと、生まれたときに誰もいないと、寂しいわね……」

 そんな言い訳をしてみたりして。
 エリスティナは、卵を拾った。エプロンのポケットに入れて、転げ落ちないように腰ひもを結わえる。
 冷たくなる前に見つけられてよかった。

 エリスティナはこの卵を育てることにした。エリスティナの、竜種よりずっと短い命の中で、たった一つの幼い子を育んだって許されるだろう。
 エリスティナは、卵を拾ったことを後悔なんてしなかった。

 この日から、この卵は――竜種の子は、エリスティナのすべてになった。