エリナは静かに言った。
 凪いだ声が、しいんとその場に染みわたる。
 カヤは何を言われたかわからないような顔をして、首をかくん、と傾ける。
 エリナは大きく息を吸った。

「あなたは、自分勝手だと、言ったのよ」

 一音ずつ、区切っていった言葉。
 カヤはようやくエリナの言うことを理解したらしい。その顔を憤怒にゆがめて、残り少ない髪を振り乱した。

「どウして!どうシて!どウシテ!」
「死にたくなかったのは私も同じよ、どうして自分たちがそれを向けられたときに、そうやって不思議に思えるの」
「リーハを返して!かえセ!」

 がん、がん、とカヤがクリスの出した鎖を杖で叩くが、鎖は揺らぎすらしない。
 歯ぎしりをして、カヤは洞のような目でエリナを睨みつけた。