「エリスティナは、エリーを殺したのはお前たちだ。僕はお前たちがエリーを殺した事実がある限り、何度だって同じことをした」
クリスがはっきりとした声で言う。その声に迷いはなく、後悔もなかった。
クリスは、目の前でエリスティナを失った怒りを、リーハにぶつけたのだろう。そして、カヤにも。
それを責める気はエリナにはない。
「リーハを返して!返してヨォ……!」
カヤが叫ぶ。それは悲痛な声だった。
あまりにも悲しい、そして子供の駄々のような叫び。
クリスがエリナを抱きしめる。聞かなくていいと耳をふさぐ。
エリナは――エリナは、その手をやわらかな動作でどけた。
エリナの耳をふさいでいたクリスが、驚いた顔でエリナを見下ろす。それに大丈夫よ、と笑みを向けて、エリナはカヤに向き直った。
「……リーハと離れて、悲しかった?」
「そウよ、返して」
「……リーハが死んで、怖かった?」
「えエ、だからリーハを」
「……私だって、死にたくなかったわ」



