エリナの体調が悪くなったからとエリナを寝室に寝かせて半刻ののち。
 執務室にクリスのことを呼び出したエルフリートは、硬い面持ちで口を開いた。

「単刀直入に言おう。番様に対する呪いは君たち二人に向けられたものだ」
「僕たち二人……?しかし、僕は呪われてはいないが」
「真の竜王にこんな呪いがきくものかよ。言っちゃあ悪いが君は無敵なんだ。良くも悪くもね」

 エルフリートは、先ほどの軽いなりをひそませて言った。
 手をひらりと振って、遮音の魔法を強くする。

「君の肉体と魔力が跳ね返した呪いが、すべて番様に向かっているんだ。君が病みやつれていたころはそんな力もまだなかった。けれど、君が食事をきちんとする、眠る、そんな当たり前のことをできるようになってから、君は、そして君の呪いへの耐性は万全になってしまった」
「エリーに出会ったことが、エリーに出会って、食事を摂れるようになったことがきっかけだと……」
「そうとも言える。君が悪いわけではないよ。陛下。竜種の肉体は、最強なんだ」