「おっと、それは陛下から聞いておくれ、愛くるしいお嬢さん。とにかく、今私が言えるのは、君は好きなものをなんだって買っていいってこと!私が汗水たらして働いて調整した予算だ!番のための分も、陛下の分だって潤沢にあるよ!」
「は、はあ……」

 勢いに押されてエリナがうなずく。
 頭を押さえてクーがうなだれているが、確かにこのテンションとずっと付き合っていると疲れるのかもしれない。

「言うべきことも言った、配膳も終わった!それじゃあ私は仕事に戻るよ!あっ、でもこれも仕事か!ははは!それじゃあ、あとは仲良くね」

 手をひらひらと振って、エルフリートがメイドたちを引き連れて部屋を出ていく。
 急に静かになったように感じた部屋で、エリナとクーは互いに見つめあった。

「と、とりあえず、食べましょうか、クー」
「……はい」

 エリナはそう言って、手近にあったサンドイッチに手を伸ばした。
 いったい何日分の食事かしらと思うくらいに並べられた料理。残してしまうのはもう目に見えてわかる結果だが、それでももったいないのでなるべくなら食べきりたい。