案内されたのは、クーの部屋はと続き間となった広い部屋。
 特に使用用途も決まっていない部屋らしく、最低限の調度があるのみだった。

 エリナの部屋にも言えることだが、ごてごてと飾り立てられた部屋を想像していたエリナはいささか拍子抜けする内装だ。
 もちろん、リーハやカヤの気配のしないこの部屋に安心する気持ちのほうが強いが。

 ――趣味が合わないよりずっといいわ。

 エリナはそう思って、部屋をじっくりと見まわした。
 白い壁、ベージュのカーテン。やわらかそうなソファには美しい織物のクッションが置いてある。
 明らかに最低限をあつらえましたというような設えに、もう慣れたエリナはくすりと笑った。