「部屋に戻りましょう。食事の準備をさせました」
「え、ええ。わかったわ」

 エリナは、クーの背を見上げた。
 広い背、エリナより、ずっと大きな体。
 それがひどく頼もしく感じて――同時に、胸が突かれるように甘く痛む。

 このままだと、どうなってしまうのかしら。
 エリナは頬に手をやった。そこはひどく熱くて、エリナはこの顔がクーに見られねばいいと思った。

 一陣の風が吹く。
 頭の中で、小さな声がうつむいて言った。

 ――それでも、私は誰かの代わりでしかないんだよ。

 と。