「部屋に戻りましょう。食事の準備をさせました」
「え、ええ。わかったわ」
エリナは、クーの背を見上げた。
広い背、エリナより、ずっと大きな体。
それがひどく頼もしく感じて――同時に、胸が突かれるように甘く痛む。
このままだと、どうなってしまうのかしら。
エリナは頬に手をやった。そこはひどく熱くて、エリナはこの顔がクーに見られねばいいと思った。
一陣の風が吹く。
頭の中で、小さな声がうつむいて言った。
――それでも、私は誰かの代わりでしかないんだよ。
と。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…