「あれ……?」
「エリー?」
「思い出せないの。なんでかしら……」

 呪いか、とクーがつぶやく。呪い?

「なんでもありません。大丈夫、エリー。あなたは何も心配しないで」

 クーがそう言って、エリナの額に自分のそれをそっとあてる。
 近くなった顔にどぎまぎしてしまって、エリナは顔を赤らめた。
 先ほどまで泣くほどつらかったはずなのに、クーがこうして抱きしめてくれているだけで、クーが近いというだけで、こんなにも胸が高鳴ってしまう。

 どうして?そんな思いが胸を占める。
 腕をほどき、立ち上がったクリスに手を差し出されて、エリナはその手を取った。