今度、絶対椅子を贈ろう。
 気付けばそんなことを思っている自分がいて、クリスは苦笑した。
 もう少し、もう少しだけ、この場所にいたい。

 食前の、感謝の祈りをささげる。両の手を組むエリナの姿はどこか神聖的にすら見える。
 エリナが目を閉じているのをいいことに、クリスはじいっとエリナの顔を見つめた。

 魂が同じだから、面影も似ているのかもしれない。
 やがて短い祈りの言葉が終わり、エリナが木匙を持つのに合わせてクリスもシチューを掬った。

 口に含んだシチューは、塩気と甘みがあって、それをミルクでまろやかにまとめていて、いつかエリスティナに食べさせてもらったのとよく似た、けれど確かに、少しだけ豊かな味がした。