そこまで考えて、クリスは静かにかぶりを振る。
 いけない、このひとは、名前も顔も良く似ているけれど、エリスティナではないのに、同一視しようとしてしまう。

 とはいえ、エリスティナの生まれ変わりを見た瞬間におかしくなるような熱に浮かされたりはしなかった。
 番を見た瞬間、それまでのすべてが上書きされてしまうのかと思っていたのだ。それが、こんなに近くにいても、感じるのはエリスティナ――いいや、この人間への素直な好感だけだった。
 それにほっとする。

「もうすぐにできるから、そこで待っていて。おなかすいてるんでしょう?」
「え、あ、はい」
「いい子ね」