躊躇もなくそれを口に含む。 苦いはずのそれからは味がしなかった。けれど、それすらどうでもよくて。 クリスは地面に転がったシチューだったものを探して、夢中で頬張った。 がりがりと咀嚼し、無理やりに飲み下す。 「おいしい、おいしいよ……エリー」 やっぱり、エリーのシチューは、世界で一番、おいしい。 燃える森が焦土になるのを横目にしながら、クリスはそう言って、物言わぬエリスティナに笑いかけた。