「今代の竜王陛下が、人間貴族という制度を嫌って廃止なさったのです。私がまだ若い時分のことでしたが、それはもう大騒ぎになって」
「人間貴族は、竜種の家畜、だもの」
「だった、ですわ。エリナさま」

 ダーナがエリナの髪をふかふかのタオルで拭う。面白いように水を吸うタオル地は、エリナの知るそれよりずっとずっと高価なのだろう。