ダーナは言って、でも、と付け加えた。

「最初は、竜王陛下のご命令だから、だったのです。もちろん、こうして少しお世話しただけで、エリナさまが愛らしいお方だとわかりましたから、お世話をするのが楽しくて、こうしていますが」
「竜王陛下の?」
「ええ」
「エリナさまの願いはできる限り叶えて差し上げてほしい、大切な、本当に大切な方だから、と、私や、メイド、厨房の人間のような使用人にまで頭を下げて。ご命令、というより、お願いに見えましたわ」

 このように、と言って、ダーナは右手を曲げて、手でお辞儀をするような仕草をした。
 その表情は、とてもいつわりを言っているようには見えない。
 竜王が……この世界の最強の存在が、頭を下げた?

 かつての竜王リーハでもそんなことはしなかった。
 エリナが怪訝な顔をすると、ダーナはそうですよねえ、と笑う。