ダーナに導かれて、湯を張ったバスタブに肩まで浸かる。
 ふう、と息をつくと、ダーナがエリナの体をマッサージしてくれる。
 バスタブに数滴こぼした香油の香りがふわりと広がって、エリナは頬をほころばせた。

「薔薇の香油です。お気に召すといいのですが」
「ありがとう、とっても気持ちいいわ」
「それはよかったですわ」

 エリナが笑顔でお礼を言うと、ダーナも目じりのしわを深めて微笑んでくれる。

「ねえ、ダーナ、聞いてもいい?」
「なんなりと」
「ダーナは、どうして私のわがままを聞いてくれるの?」
「出会ったエリナさまが、とても素敵な方だったからですよ」