とん、とクーの胸を押す。 力が入っていない人形のように、エリナを解放したクー。 エリナは目に浮かべた涙をこすりながら、広い部屋の端、遠くに見えるドアを指さした。 「出て言って。クー。……今は、ひとりにして」 「……わかりました」 クーは静かにそう言って目を伏せた。 クーのほうが身分が上なのに、エリーの言うことがそんなにも大切みたいな態度をとる。 番とは、そんなに強いつながりなのだろうか。そんなにも、最強の種族である竜種を従えるものなのだろうか。